A1. 下記のようなスケジュールで進んでいきます。
A2. 相続とは大きく分けて三本の柱から成り立っています。
評価→個々の財産をいくらで評価するかということです。納税者の方にとってみれば、合法的な評価方法で少しでも安い評価が認められれば一番いいわけです。
分割→誰がどの財産をどれだけ取得するのかを決めることです。相続財産をどう分けるかによって、相続税額にも影響しますし、将来の相続人の生活設計や、次の相続のことなども十分に考慮して決めなくてはなりません。
納税→2の分割と紐付きの関係にあるのが納税です。財産の取得が決まったら、どのように納税するかを各相続人ごとに決めていかなくてはなりません。延納(売却)するのか、物納するのか、または現金で一括納付するのかを検討していきます。
上記のように1.評価、2.分割、3.納税はそれぞれが単独で独り歩きするのではなく、3本の柱が密接に結びつき、相続という一つの大きなものを作り上げていきます。税理士は、このような状況の中で、相続人の方が意思決定できるように、いろいろな提案やアドバイスをしていくのです。
A3. 金融機関は、相続の開始があったことを知ると、保全のため故人の銀行口座を閉鎖します。従って、その後は引き出しをすることができなくなります。そこで対処方法としては、以下の2つの方法が考えられます。
各金融機関所定の用紙に、相続人全員が署名押印(実印)をし、閉鎖を解除してもらう。
相続人代表口座を開設して、その後の入出金は全てその口座で管理する。後日、分割協議が確定した段階で分割に基づきお金を精算する。また、相続人代表口座の代わりに既存の相続人口座を使ってもいいと思います。故人の口座がストップすることにより、入出金ができなくなり思わぬ延滞金等が掛かる場合もあるので、早急な対応が必要です。また、相続の開始が近い将来予想されそうな場合は、事前に葬儀費用など必要な金額を引き出しておくと、あとで慌てなくてすみます。
A4. 遺言には以下の3種類があります。
(1)自筆証書遺言
(2)公正証書遺言
(3)秘密証書遺言
このうち最も安全確実なのが(2)の公正証書遺言です。一般的には遺言者が公証役場に出向き、自らの意思を公証人に伝え遺言を作成する方法です。自筆証書遺言に比較すると手間と費用が掛かりますが、安全性の面から言うと最も優れていると言えます。
現状では遺言書を作成しておく方はまだまだ少数ではありますが、自らの思いを次の世代に伝えていくという意味で、とても重要なことだと思います。
A5. 相続税の申告期限は、相続開始日から10ヶ月以内となっています。仮に相続人間で遺産分割が整わない場合でも10ヶ月以内に税務署に対して申告しなくてはなりません。この場合は未分割申告(法定相続分)をすることとなります。未分割申告をすることにより、納税者にとって有利な以下の規定が使えなくなります。
1.配偶者の税額軽減
2.小規模宅地の評価減
3.相続財産を売却した場合の取得費加算の特例
4.農地の納税猶予の特例
5.物納の申請
いずれにしても税務上の有利な規定が使えなくなってしまうので、期限内に分割を整えることが最大の対策となります。
A6. そんなことはありません。確かに国は物納を許可したあとに売却するわけで、売り易い土地のほうが有り難いのは事実です。そこで『管理処分するのに不適格な土地』を定めています。道路付けがなかったり、隣地との境界確定ができていない土地については、物納は認められていません。従って貸地ということだけで、物納が認められないということはありません。貸地の場合、国の定める地代の額さえ満たせば、他の要件は通常の更地の物納と同じです。物納を申請する際に事前によく検討して申請したいものです。
A7. 実際に数字を使って計算してみましょう。
例)
相続税額 1億円 A土地の評価額 1億円
売却金額 1.1億円(申告期限から3ヶ月経った日に売却)
物納の場合
土地の評価額1億円で納税があったことになります。
売却の場合
売却収入 110,000千円
仲介手数料 △3,300千円(3%)
利子税 △550千円(年2%で3ヶ月分)
差引手取額 106,150千円
【結論】 物納100,000千円<売却106,150千円
∴売却のほうが有利
このように物納・売却の有利・不利を検討した上で納税方法は選択するようにしてください。
なお、申請方法として、物納から延納(売却)への切り替えは可能ですが、延納(売却)から物納への切り替えはできないので注意が必要です。売れるかどうかわからないときには、とりあえず物納申請をしておきましょう。
A8. 相続税の税務調査は、故人の生前のお金の流れを中心にいろいろな角度から調査が実施されます。その代表的なものが名義預金と呼ばれるものです。
たとえば生前に故人名義のものを同居親族の名義に変更しておくとします。税務調査では、実質的に誰のものなのか?によって真の所有者が判断されるのです。
従って、形式上(名義上)親族名義であっても『本当は誰のものなのか?』というところに着目して、相続財産として課税されることとなります。
このように相続税の申告では、目に見えない細かなお金の動きなども十分に考慮に入れて申告することが必要となります。
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